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2008年06月24日

幻影 不雷男【緑の稲穂】

PCクラッシュに伴い、ご迷惑をお掛けしております。。
何とか、かんとか 動いていますが・・

<プロローグ>
【川蜻蛉の舞う渓にて】で、数度投稿した釣行記事。
その殆どに、「同行者」がいる。 兄である事が多いが(兄が同行する場合、その記
事は兄が執筆)、一部会社の先輩と行く記事を投稿して来た。
幻影 不雷男【緑の稲穂】
一部の釣り人は同行者が居る事を嫌い、又 平日釣行が基本の不届きな兄もいる・・

私は一人では決して釣行には行かない。

なぜ?

何故って・・

見るからさ。

何を?

色々なものをさ・・ 今回はそんなお話。

<ヤマト岩魚の居る?渓へ>
昨年の秋、9月の後半。
そう9月である事を覚えておいてほしい。

長野県は白馬村に流れる 姫川の支流・・ 某A川の上流部に向かった。

同僚のハルちゃんと立てた計画はこうだ・・
A川は、姫川に流れ込む支流B川の枝沢。
兄弟がその昔、FFスクールを受けた際の講師の方が開設するHPに紹介されている川だ。。 この川で「ヤマト岩魚が釣れた」そんな記事にバイトした訳だ。
幻影 不雷男【緑の稲穂】
その年、兄貴は日本中の岩魚亜種を求め、釣り歩きその目的を達成していた時期。そんな兄貴の鼻を空かしてやりたくて、長野までやって来た。


姫川ダム?の横道を入り、目的の沢を目指す。
山の中を走る、B川の側道を登って行くと、目の前が大きく開けた。

そこは、のどかな田園風景。

川沿いの大きく開けた場所に、なだらかな丘を利用した段々畑が見事だ。
稲穂は涼しげな風に揺られ、緑色の稲穂を揺らしている。
時折、吹くやや強い風が、稲穂の中を走り 【少年時代】を口ずさんでしまう程だ。

カーナビはその田園風景から更に奥の目的地を示し、川の表示が薄っすらと見える。
「近いぞ!」
二人は興奮しはじめた。

ところが・・

「TOMOさん、道が分からない、田圃から目的地の方向に道が無いんだ・・」
「え?そうなの・・ 【道路整備でもされたのかな?】 一先ず誰かに聞いてみよう」
と当たりを見回すが、残念ながら誰もいない。
田圃の中央部には、巨大な石が何かの記念碑の如く、祭られており看板も見える。

だが人は見えない・・見えるのは、気持ちよさそうに揺れる緑の稲穂・・

「とにかく、目的の方向へ向かってみよう」
と言う事になり、川とは反対方向に伸びる 林道(舗装されていない山道)に入った暫くすると・・
「びんご!」「正解だ橋が見える」

赤く塗られた橋・・ しかし、深い・・ 渓に降りられる道は無く、橋を超えた先に未だ山道は続く。
車を降り、橋まで見に行くと、橋の横にプレハブ小屋がありそこには・・

「土砂崩れ監視所」と記載されている。

「土砂崩れ?」 と橋の下を見ると、驚愕した!
川が・・ 嫌 山が無い。
山そのものが、1匹の巨大な龍と化し 全てを飲み込み、全てを押し流した爪あと・・
巨大な岩が幾つも点在し、押し倒された樹齢数十年と思われる樹木・・

自然の驚異、大自然の猛威を間近に垣間見た。

川は、ショベルやブルが入っており、辛うじて流れを保つ程度に【溝】が掘られ、釣りどころの騒ぎじゃない・・ 
「この上流はどうなんだろう?」とオイラの横にいるはずのハルちゃんに声を掛けるも返答が無い。
「TOMOさん!こっち・・こっち!」と手招きする声に振り向くと、「土砂崩れ監視所」に掲示されている
張り紙を見るハルちゃんが居た。その張り紙にには・・ 

明治44年(1911年)8月、稗田山の北側斜面が崩壊し、大量の岩屑が支流のB川を流下
して姫川河床に堆積し、高さ60m~65mの天然ダムを形成した。堰き止められた姫川は
長瀬湖と呼ばれる湖を出現させ、川沿いの集落は壊滅し、14世帯56名全員が死亡し
た。この崩壊は20世紀の日本における最大の山岳崩壊であり「稗田山崩れ」と呼ばれ
ている。常願寺川の鳶山崩れ、安倍川の大谷崩れと共に日本三大崩れの一つとされ
る。

近年では平成7年(1995年)7月11日の災害で姫川温泉が甚大な被害を受け、国道148
号、大糸線が長期不通となった。なお、翌年12月6日にはこの災害復旧工事中に土石
流が発生し作業員14人が死亡している。

「・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「無理だ、帰ろう・・」
「うん、そうだね」

早速、車に乗り込み 来た道を引き返す。
「あれ?TOMOさん 道がカーナビに表示されたよ・・ あ・・ 来た道じゃ無いね・・」
「そうなの?地図古いんじゃないの?山道とかの登りの側道って見逃し易いからね」
「そうかな・・」首を傾げるハルちゃん を横目に、例の田園を横目にみた。

確かに来た道とは違うものの、見事な段々畑。大きな岩の記念碑が見て取れた。

大きくカーブし、田園が山陰に隠れる瞬間、先ほどは気が付かなかったが、記念碑に掘られた

文字が見えた 

【稗田山集落 鎮魂の碑】。


無言だった・・ しばらく 無言で車を走らせた。
1時間程度で、姫川迄降り 気分を晴らす為・釣りと言う目的を果たす為、宿の近くで釣りをした。
既に日は傾き始め、夕闇がゆっくりと 迫る頃・・

「TOMOさん・・・」 ハルちゃんが田圃を見ながら呟いた。
「なに? どうしたの?」小物だが、結構釣れていたオイラは、何気なく聞いた。

「今、9月だよ・・ そうだよ、おかしいよ。そうだよ!カーナビも!」
「なに?本当にどうしたのハルちゃん!」異様な空気を悟った。

「見て!稲穂を! 茶色だ!もう収穫時期だ!遅い位だよね!」
「それがどうしたの・・・・・・・」

「緑だった・・ あの畑は緑の稲穂だった!」

「!!!!!!」

「誰もいなかったよね・・」

「僕の田舎はE県の農家なんだ、標高は長野と同じ位だ、7月~8月は緑だが9月は茶色くなるんだ!」

「なぜ、あの田圃だけ 緑の稲穂だったのだろう・・」
「行きには無い道が帰りにあったのだろう・・」
「そう言えば、民家が1件も無かった・・」
「畑を管理する人も、誰も居なかった・・」


白馬岳から吹き降ろす 冬の匂いを含んだ一陣の風が 茶色く実った房の中を走るザザザザザァ~ ザワザワザワァ~ と走る風の中二人同時に稗田山を見上げる。

静かに佇むその山の上に 赤い満月が浮かんでいた。



※後日談・・・その田園、並びに石碑は【本当に存在します】。 【土砂崩れ観測所】も存在します。
長野県白馬村 国道14○号を新潟方面に進み、山をくりぬいたトンネルの途中から、姫川ダムを超え、山中に入る道に行く事が出来ます。
そこから道なり(川沿い)に登っていくと、【稗田山集落跡】に行く事が出来ます。
  
  豪雪地帯の白馬村。
  
  一年を通して、緑色に揺れる稲穂 を御覧になりたい方。 

  是非 一度 足を運んで見てはいかがでしょう。
  
  白馬村出身の恩師からの伝言です。
  
  その田園 の遠くに、白くクネクネしたものが見えたら 目を逸らし 逃げなさい。
  との事です。

  【くねくね】 については、次の機会に・・ 







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Posted by 闘猛(TOMO) at 12:42│Comments(6)
この記事へのコメント
話してが闘猛さんだから
リアルに怖いんですけど~

ちょっとこの崩落事故
ウィキってみますね
Posted by SAGE愛好会 at 2008年06月24日 12:58
これって、本当の体験談・・・?
異界に迷い込んだってこと・・・??
【くねくね】 って何・・・???
早く知りてぇ~!!!
Posted by tobitani at 2008年06月24日 15:45
【くねくね】、こわぁぁx・・・
始めまして、初コメント入れさせてください^^;(ぶるぶる)

姫川温泉が災害にあわれたのは当時長野に住んでいたのでよく覚えています。
長野県は源流帯が多いため崩落事故も多く発生しているんですよね・・
台風被害で放棄された集落後なんかも見かけますし^^;・・・
久々に怖い話聞いちゃったな~

ブログリンクさせてくださいー
これからもよろしくお願いします^^
Posted by pon-pontapon-ponta at 2008年06月24日 16:59
おはようございます
時に自然は考えられない猛威を本当に奮うだけに、
ゾクッと怖い話ですね。
果たしてこの後、闘猛さんは釣りを続けることが
できたのでしょうか?
などと考える私はただの釣り馬鹿か。
Posted by jbopper at 2008年06月25日 08:49
SAGEさん>Wiki出た?出ると思うよ。結構有名な崩落事故らしいから。。

夏も近いんで、チョイ・チョイ怖い話アップしますね~

tobitaniさん>ちょっと着色してますが、基本は【本当の話】ですよ~
「くねくね」知りたいですか?本当に?し・り・た・い?
Posted by TOMO at 2008年06月25日 13:58
pon-pontaさん>ブログリンクさせて頂きま~す。ありがとうございます(^^
長野の方ですか!! 川蜻蛉兄弟の親戚も長野に沢山います。オブセ町?だったかな?
以外に放置された集落後が残っているんですね~ そんな一つに迷い込んだ様です・・


jbopperさん>自然の力って凄いですね。
優しくもあり、怖くもあります、怖い面を見てしまうと恐ろしくなりますが・・

その後ですか?(^^; 当然、フライが見えなくなるまで釣りましたよ。(真っ暗な中、夜光塗料のフロータント開発の話で盛り上がりまたww) 翌日も元気一杯 釣りして、善光寺にお参りして、蕎麦食べて帰りましたw
Posted by TOMO at 2008年06月25日 14:04
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